ＮＰＯ法人ハートキッズ・ジャパンについて

お知らせ,医療・福祉等に関する情報

今春千葉市にNPO法人ハートキッズ・ジャパンが誕生しました。
ご存知のように心臓外科手術や 治療法の進歩により、この数十年で先天性心疾患の救命率は飛躍的に向上しましたが、日本では小児の心臓移植が少ないなど、解決すべき課題が多くあります。
NPO法人ハートキッズ・ジャパンは、心臓病を持つ子どもたちが明るい未来を迎えるために様々な取り組みを行います。
先天性心疾患に関する最新の知識や、必要な情報をウェブサイトや講習などで提供します。
また、一般の人に対しても先天性心疾患への理解を深めるための働きかけを行います。
さらに、先天性心疾患の治療・ケアの向上に向けた支援を行うことで、様々な課題解決に取り組みます。

ハートキッズという組織は世界各地に存在します。
例えばハートキッズ・オーストラリアは数十年の歴史があり、心臓病の子ども達と家族のサポートやケア、治療に関わる医療スタッフの教育、病院設備の更新や機器の購入、医学研究の支援などを行い、多大な成果を上げてきました。
特に共生・助け合いの文化が根付いた欧米諸国では一般の人に心臓病について理解をしてもらうことで寄付を募り、社会が心臓病の子どもをサポートし、かつ医学を発展させるという良い循環があります。
私のいたオーストラリア・メルボルンでも「ラン・フォー・キッズ」という市民マラソンのイベントがあり、市民が走って健康になるとともに、参加費用の一部を寄付にあてることで、参加者が、病気の子どもたちを間接的にサポートするような仕組みがありました。
病気の子どもたちと家族、市民、医療者がとても良い関係のもとに、全ての人たちがより良い方向に進んでいるのを実感できました。

今回、NPO法人ハートキッズ・ジャパンを設立した背景には、日頃診療をしながら感じる様々な未解決な問題点を、NPO活動を通してひとつひとつ丁寧に解決していきたいと強く思ったからです。
海外の他のハートキッズの成功例を参考にしながら、活動を続けたいと考えています。
立ち上げの初年度はNPO法人ハートキッズ・ジャパンの存在とその活動の意義を広く知ってもらうことが目標です。
地元の千葉を拠点として活動を開始していきます。

具体的には10月に、千葉市科学館（きぼーる）にて「ハートキッズ教室」を開催予定です。
小中学生に心臓外科医体験をしてもらうイベントです。
子どもたちはガウンと手袋を着て実際に人工血管を縫ってもらいます。
同時に、心臓の解剖、循環のしくみについてレクチャーを聞いてもらい、心臓病について、また病児についての理解を深めてもらいます。
同じ10月には千葉科学フェスタにも出展します。
ここではECMO装置と模擬回路を展示し、実際にECMO回路に触れてもらい、ECMOによりどのように救命できるのかを理解してもらいます。

また、現在準備を進めている事業として「ホームモニタリングプログラム」の普及があります。
単心室症では最終的なフォンタン手術まで段階的手術が行われますが、第一段階目から第二段階目の間の救命率がこのホームモニタリングプログラムの導入により約40%向上しました。
アメリカ・ウイスコンシンの小児病院で始まったこのホームモニタリングプログラムは現在全米６０施設で導入され、全世界で７０の施設で導入されています。
NPO法人ハートキッズ・ジャパンでは、パルスオキシメーターの無償配布やアプリの提供を行うことで、このホームモニタリングプログラムの日本への普及に関わりたいと考えています。

海外のハートキッズも数十年を経て現在のような素晴らしい団体に成長しました。
NPO法人ハートキッズ・ジャパンも軌道に乗るまでには時間が掛かると思いますが、ひとつひとつ目の前の課題に着実に取り組んでいきたいと思います。

NPO法人ハートキッズ・ジャパンは、千葉県支部の賛助会員になっていただきました。
守る会も心臓病児者と家族の会として、NPO法人ハートキッズ・ジャパンの活動を応援していきます。

（ホームページ）ＮＰＯ法人ハートキッズ・ジャパン