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内閣府障害者政策委員会で改正障害者差別解消法の基本方針について ヒアリングがありました

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(本部事務局通信)

9月13日、オンラインで開かれた内閣府の障害者政策委員会ヒアリングで、守る会を代表して神永芳子会長が参加して、意見を述べました。
障害者差別解消法が改正され、その実行のための基本方針を議論するための委員会の開催です。
論点としては、不当な差別的取扱い、合理的配慮の提供、そして、国・自治体の支援措置の基本事項ということでした。
※障害者差別解消法は、障害者への不当な差別の禁止と障害者に対する社会的障壁を除去する「合理的配慮」を求めた法律です。令和3年6月の法改正で、「これまで努力義務だった事業者の『合理的配慮の提供』の義務化」(行政機関には法律制定時から「合理的配慮の提供」は法的義務となっています)、「国と地方公共団体の差別解消施策の連携」などが追加されました。
改正法の施行はこれから3年以内の時期とされています。

(ヒアリング項目)


(守る会としてのヒアリングでの意見)

神永会長からは、「合理的配慮の提供」ということについて保育園の入園を断られたり、学校で親が付添いをしなければならないといったことがあることを述べて、親の社会とのつながりや就労を保障する考えを含めてほしいということを述べました。
また、先天性心疾患患者は根治することなく生涯にわたり障害を抱えていくことから、医学の進歩に合わせた支援、年齢によって途切れることないシームレスな支援を求めました。
さらに、内部障害は見た目では障害を理解することが難しいことから、本人や家族への問いかけをしていくことの大事さを述べました。
行政に対する措置については、専門医療機関からの助言を求めることなどを含めて、相談窓口の充実と周知が必要との意見を述べました。

守る会の他にも、難病のこども支援全国ネットワークやJPAなどの患者団体も、同じ時間でヒアリングを受けました。
同じように、学校での親の付き添いのことや、障害者手帳をもたない難病・慢性疾患患者も法の対象になることを明記してほしいことなど意見が述べられました。

質疑・討論では、委員の中から法の「対象範囲」について守る会に質問がありました。
それに対して、神永会長からは障害を細分化して線引きするのではなく「何をしてほしいのか」という必要な支援で決めるべきと回答しました。

また、学校での「付添い」問題について、「地域性」がある問題なのか、「うまくいっている例」はあるのか、質問がありました。
守る会からは、過度な不安を抱かれるケースが多くて、地域というより学校により対応がちがう。
酸素を持ちながらも付き添いなく通えているという事例もあることを述べました。

難病ネットや自閉症協会からも、同様に学校ごとに対応が違うとの発言があり、親の負担という問題だけではなく、子どもの自立ということにも目を向けて、付添いは極力なくしてほしいという意見がありました。
具体例として、自閉症の子どもが学校で、トイレ介助は支援員の仕事ではない、ということで、親が来るまでおむつが汚れていてもかえず待っていたという事例が述べられました。

その他に気になった点としては、「差別」の定義を明確化すること、事業所にとって「過重な負担」がかかるということで配慮の提供が行われないことに対しての理由を明らかにすること、といった意見が多くあったように思いました。
また、ダウン症協会から、本人がいる前で親に対して、医師やスクールカウンセラーから「出生前検査を受けなかったのか?」ということを言われるという事例も紹介されました。

こうした当事者からの声を反映して、せっかく改正された法律が実効性あるものになっていってほしい、と切に願います。

※障害者差別解消法の改正について

政府の障害者差別に関する政策や合理的配慮についてもっと知りたい方は以下のページをご参考ください。

内閣府ホームページ|障害を理由とする差別の解消の推進