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講演会「移行期について考えてみよう」報告

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6月26日(日)の支部総会後に、講演会「移行期について考えてみよう」が、会議室プロム船橋及びオンライン(ZOOM配信)の併用で行われました。
講師は、濱田 洋通先生(千葉大学大学院教授・医学部附属病院小児科長)と、横内 宣敬さん(千葉県移行期医療支援センター ソーシャルワーカー)のお二人です。
参加者は、支部会員…22家族25人(来場10家族、オンライン12家族。)支部外からは8名(保健師3名、病児保護者2名、病児本人3名。うち守る会会員1名)でした。
リンク:千葉大学移行期医療支援センター(千葉大学医学部附属病院)

濱田洋通先生「移行期医療で大切なこと」

・年齢でいきなり大人の病院に変わる、循環器内科に変わる、ではうまくいかない。
本人の準備が出来てから、が大事。
自立支援のための教育は重要。
実際には、数年かかることが多いです。通常の発達のお子さんには、高校生から診察室には1人で入ってもらっている。

・千葉大病院ではトランジション看護外来を設置し、千葉大病院の中学生以上の患者の自立支援をしている。
(本人がアンケート記入、看護面談、ツールとしてマイパスポート)相談や事例は増えてきている。

・大人の病院の先生は、小児科の先生のように先生の方から聞いてくれない。
質問をしてくれない。
準備をして、伝えるべきことは自分から言わないと、診察はすぐに終了してしまう。

・支援実績・事例から…「ずっと小児科ではだめなのか?」「何カ所も通院するのは難しい。」「学校から救急対応できる病院に通院するよう言われている。」

→小児科医師は、例えば腹痛…胆石や、女性なら婦人科系の病気など、大人の病気がわからない。
糖尿病なども得意ではない。
40~50代ころから色々な成人病が出てくるし、心臓病の方は少し早く出てくることもある。
複数の病院や先生にかかることになる。また、小児科病棟に大人は入院しにくい。

→小児期医療は、包括的・ワンストップで、通常時も緊急時も、1人の先生が診てくれた。
しかし、成人期医療は違う。
基本、病気は臓器別。
「日常」は地域のクリニックで、健康診断なども利用し定期的に診てもらい、「緊急時」や他の臓器に心配があったときは、専門病院や大きな病院を紹介してもらう、が成人の医療。
また国主導の「地域包括ケアシステム」により、医療・介護・生活支援などの役割分担が明確にされ、多機関が連携している。
小児期の医療との違いを理解して、成人期医療の仕組みに沿って考えていった方が、スムーズに行くと考えられる。

【ご本人、家族が準備すること】

 ★自分の病気、体調を説明できるようにしよう
・将来起こりうること:今後手術は必要?お薬だけ?
・心臓を守る生活を:日常生活で気をつけること
  *ベストな体重、禁煙、歩行・筋肉の維持、いつもの自分の血圧、水分・栄養(含む塩分)*
・心不全って、どうなるのか勉強しておく      
 ★日常時の先生と、非常時の先生を使い分けよう…
・ 日常時はひとりの先生、 非常時はその病気や重さによって地域支援病院や専門病院の別の先生方。
★医療、福祉で相談できるヒトをつくろう… 保健師や訪問看護師、相談員、ケアマネなど。

千葉県移行期医療支援センター 横内 宣敬さん

◎横内さんからは、千葉県の移行期医療の課題、支援センターの活動、相談事例、などをお話いただきました。
・千葉県移行期医療支援センターは、関係機関への支援とブレーン・旗振り役を担っている。
将来的には、小児期医療機関で移行ができるようになり、センターは必要が無くなることが理想。
現在は、仲介的な役割。
実態調査では、患者の自立支援に取り組んでいる医療機関は限られていて、移行先のネットワークがないという医療機関が多い。
一方、院内連携で円滑に移行できる疾患もある。
また知的・発達障害を伴う患者への対応の検討が必要、など様々な課題がある。

・千葉県こども病院とWebで会議し、患者の移行を一緒に考えることもある。
多職種(医師・看護師・ソーシャルワーカー)で協議。事例を通じて課題を共有。

・相談事例では、実際には ①徐々に小児科から成人科へ完全移行 ②小児科にも成人科にも通院 ③小児科のまま、年齢なりの自立 の方がいる。
症状が落ち着いている疾患は、近くの内科クリニックにうつった方が、待ち時間の短縮・学校を休まなくて良いなどのメリットもある。
事前にクリニックに情報提供をし、本人にも新しい病院なので、自分の症状を伝えられるように準備をさせる。

…講演後、講師のお二人に申込時に集まった質問に答えていただき、千葉心友会事務局を交えての意見交換会では、実際の体験談も聞かせていただきました。
心友会の行事で、自分の病気のことを皆が話していることに刺激を受け、自分で調べるようになる。
自分の事を知る、どうなっていきたいか。
それを親が仕向けることでも良いのでは、とのお話が心に残りました。

移行期について、何となく知っていましたが、より深く正しい理解ができたように思います。
先生方は、医療側の課題も上げて動いてくださっていますが、患者・家族側も理解を深め、準備・実施することの大切さを実感しました。
講師の方々、季節外れの猛暑でお忙しい中、本当にありがとうございました。

心友会,移行期