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千葉県支部総会後の講演会(千葉市立海浜病院・循環器内科 小永井奈緒先生)のご報告

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今年度の支部総会後の講演会は、6月20日(日)14時から、講師は千葉市立海浜病院の循環器内科医師の小永井奈緒先生、題名は「考えてみよう 生理のこと、妊娠・出産のこと」で、オンライン(ZOOM)にて行われました。

参加者は、41名でした。千葉県支部会員は17名、他支部や会員外の病児家族、患者本人が18名、その他医師、看護師、病院のソーシャルワーカー、保健師、大学教員という専門職の方も参加されました。

2011年千葉大学医学部卒の若い先生でいらっしゃいますが、小児科・産婦人科でも先天性心疾患をサポートされ、たくさんの経験をつまれていることがお話を聞いていて分かりました。

講演の内容としては、①月経、②妊娠・出産、③心臓病を持ちながら出産された会員様の体験談、④質疑応答でした。

月経については、「何故月経が大事か」「先天性心疾患患者の月経」「治療のこと」が話されました。
「月経は身体的、先進的な健康のバロメーターで、月経異常はそれ自体の異常の他に病気が隠れていることがある。
先天性心疾患患者は月経異常の割合が高い傾向があり、複雑性心疾患、チアノーゼの期間が長かった方は初潮が遅くなる傾向がある。
18歳になっても月経が来ないと検査が必要で、生理痛には痛み止めを処方する。
低用量ピルは血栓リスクがあり、一部の心疾患では使用は勧められない。
またエストロゲンを含まず血栓ができなくいとされるホルモン剤もあるが、決まった時間に飲む几帳面さが必要である。
ただ、月経が安定するには初潮から7年前後かかるので、全ての思春期女性は何らかの月経異常を経験するととらえられ、過剰に神経質になる必要はない」
など話されました。
腹痛、貧血は我慢せず、相談しやすい人(親、保健室の先生、主治医)にまずは聞いてみることが大事とのことでした。

妊娠・出産については「妊娠中、産後に起こる体の変化」「不整脈・心不全の話」「リスクの高い心疾患」が話されました。
「妊娠は血液量や心拍数がふえ、10ヶ月かけて行う持久走のようなもの。
リスクは疾患によって大別され、弁膜症、心不全症状、不整脈、機械弁、高度の大動脈拡大の有無や、体力、年齢、多児妊娠かどうかなども関係する。
妊娠前からの相談、リスク評価が非常に大事。
分娩方法は一般的に経膣分娩を推奨し94%が経膣分娩で出産。
完全母乳だと500kcal消費など、心不全の発症は産後に多いので、授乳や子育て、家事の分担について家族・行政がチームで関わるのが大事」
など話されました。

次に心臓病をもって出産された会員様お二人の体験談についての音声を拝聴しました。
一人目の方は純型肺動脈閉鎖症のフォンタン術後で、ご主人も心臓病の方でした。
「子供が自分のことを出来るようになると楽になるが、疲れると自分のことでいっぱいでつらくなることもあり、手抜きをしながら行っている。
これからの方は、医師に相談し出産可能なら考えていくこともあるし、出産しないことも可能性としてはあると思う。
周囲に援助を求め、出産で終わりではなく子育てまで考えること」
をアドバイスされていました。
二人目の方はファロー四徴症、肺動脈閉鎖で、妊娠時に「リスクが高すぎる」と今までかかっていた病院に断られ、転院されるなど初めから不安な思いをされたようでした。
しかし、受け入れてくれる病院が見つかり、医師と話され安心されたようです。
「同じ病名でも一人一人心臓は違うので、主治医やそれ以外の医師にも相談すること。自治体のサポートも活用すること」
などをアドバイスされていました。

最後の質疑応答では、千葉支部だけでなく他支部からも寄せられた11問もの質問に答えてくださいました。
その中でも
「月経のことや、妊娠・出産のリスクについて何歳のときに、どのように伝えるのが良いか。
妊娠リスクが非常に高い場合、何歳から告知するか」
という質問は複数の方から寄せられたようで、わが子の気持ちを考えて思い悩む親心が感じました。
先生の回答は
「本人の理解度や将来の自立設計によって変わる。
私は小児科から循環器に移行する時に必ず月経について聞く。
その時医師から婦人科を促すと婦人科受診のハードルが下がることもある。
進学や仕事(バリバリ働きたいのか早目に家庭に入るのか)なども聞く。
必ずしないといけない、避けて通れないのは避妊の話。
異性とつきあいのある高校生などは循環器に移るときに性交経験を聞くこともある。
本人の理解度や教育方針などもあるので保護者と相談しながら決めていくが、保護者、医師、看護師、心理士など誰から話を進めていくかは、今も考えながら行っている。
まずは主治医に相談するのが良い。
婦人科も一般的なことは教えてくれる」
とのことでした。

最後に「妊娠・出産は人生の選択肢の一つであり、患者さんと一緒に人生設計に関わっていけたらと思っています」とお話ししていただき、専門家である医師が個々の人生にたずさわってくれることに安心感を覚えたのと同時に、自分からもハードルを低くして相談していくことの大切さを感じました。